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あなたは知ってる?駐車場の相続財産評価について

被相続人が貸駐車場を所有していた場合、相続人がその貸駐車場を相続により取得すると、その相続財産評価が必要になります。
また、駐車場を利用した相続税対策を考える場合にも駐車場の相続財産評価に関する知識が必要になります。
よって、以下では、それについて解説します。

駐車場の相続財産評価の原則について

被相続人が貸駐車場を有していた場合、その敷地の相続税財産評価は、自用地と同様の評価になります。

その理由は、貸し駐車場の所有者は、その土地を利用して他人の自動車の保管を一時的に引き受けているだけであり、貸駐車場の運営は、土地そのものを貸し出す土地の賃貸借と本質的に異なるものだからです。
よって、貸し駐車場の敷地を相続で取得した場合の財産評価は、通常の宅地と同様の評価になります。

ただし、車庫の設置を利用者に認めるような契約の貸し駐車場の場合には、その敷地の相続財産評価は、自用地としての評価と異なるものになります。

車庫などの設置を利用者に求める駐車場等の敷地の相続財産評価について

車庫などの設置を利用者に認めるような貸駐車場の敷地の相続財産評価は、その敷地の自用地としての評価額から、駐車場利用権を借地権として取り扱い、その借地権の価額を控除した価額となります。

借地権価額は、原則として、駐車場の敷地を自用地として評価した価額に、借地権の残存期間に応じて定める割合を乗じた価額か、同じく自用地としての評価額に借地権割合を乗じた価額のいずれか低い方の価額となります。

ここで、借地権の残存期間に応じて定める割合とは、国税庁で公表している相続財産評価基本通達で、次のように定められています。

残存期間が10年以下5%
残存期間が10年超15年以下10%
残存期間が15年超20年以下20%
残存期間が20年超25年以下30%
残存期間が25年超30年以下40%
(中略)
残存期間50年超90%

一方、借地権割合は、これも国税庁で公表している路線価図または評価倍率表で定められています。
借地権割合は、繁華街等の都市部では高く、反対に、郊外地や農村部では低くなる傾向があります。

貸駐車場の敷地の相続財産評価について

例えば、駐車場の敷地の自用地としての評価が100万円であった場合、貸し駐車場契約の残存期間を6年とすると借地権の残存期間に応じて定める率は10%、その土地の借地権割合を30%とします。

すると、借地権価額は、100万円×5%=10万円、100万円×30%=30万円のいずれか低い方になりますので、5万円となります。

貸駐車場の敷地の相続財産評価は、自用地としての評価額から借地権価額を控除した金額になりますから、100万円−5万円で、95万円となります。貸駐車場の借地権の評価方法は、法定地上権の評価方法又は借地権の評価方法を併用した方法となります。

駐車場を利用した相続税対策について

駐車場を相続税の節税に利用するためには、単なる青空駐車場では難しいことになります。
そのためには、駐車場利用者が車庫を設置できる契約を結ぶなどの一定の手続きが必要になります。

また、単に敷地にロープを張っただけの駐車場では、固定資産税の評価においても、更地としての評価になり、節税の観点からは全くメリットがありません。
固定資産評価を下げることで相続税対策を行う場合には、最低でも駐車場の敷地にアスファルト舗装を施す必要があります。

なお、貸駐車場が事業用地として認められると、一定の限度面積まで、一定割合で相続財産評価額を減じることができるという小規模宅地の特例が利用でる場合がありますが、その場合でも、駐車場には最低でもアスファルト舗装程度の設備が施されている必要があります。