Breakup 908714 640

別れるのも慎重に!?相続と離婚の関係について

被相続人が亡くなる前に離婚した妻は、被相続人の相続人になることができるのでしょうか。

以下では、このような相続と離婚の問題について考えます。

離婚した元妻は相続人にはなれない

例えば、30年以上連れ添った夫婦A及びBを想定します。

さて、AとBが離婚し、離婚の翌日にAが亡くなったとします。

その場合、Aの死亡日の前日まで30年以上連れ添った元配偶者Bは、Aの死亡時点で戸籍上の妻ではないので、Aの相続人となることはできません。

上記の例のように、離婚した元夫や元妻は、離婚前の婚姻期間がどんなに長くても、離婚した被相続人の相続人となることができません。

なお、離婚した元配偶者に相続権がないといっても、被相続人が離婚した元配偶者に相続財産の全部又は一部を遺贈するという遺言書を作成することは可能です。

ただし、その場合には、法定相続人がいる場合には、元配偶者への遺贈が法定相続人の遺留分を侵害しないように注意しなくてはなりません。

離婚した場合の財産分与について

被相続人との婚姻期間がどんなに長くても、被相続人の死亡時点で戸籍上の配偶者でなければ、被相続人の相続財産への権利を主張できないというのは腑に落ちない気もします。

その理由は、婚姻期間が長ければ、被相続人と離婚した元配偶者が被相続人の財産形成に寄与した割合も当然大きくなるからです。

このことについては、離婚の際の財産分与において、婚姻期間に形成した財産への寄与分に応じて、その財産が離婚した双方に与えられるということで、解決が図られています。

離婚した夫婦の子の相続権について

さて、離婚した夫婦の双方に子がいる場合には、その子については、両親の離婚によって相続権が影響を受けることはありません。

よって、例えば、A及びBが夫婦で、AB間には子Cがいると仮定します。

この場合で、AとBが離婚して、その後Aが亡くなった場合に、CはAの相続人になれますし、その後にBが亡くなった場合でも、CはBの相続人となれます。

結論としては、AとBが離婚しても離婚していなくても、その子CはAB双方の相続人となることができます。

再婚した夫婦の連れ子の相続権について

一度離婚した者が再婚をしており、その者が前妻又は前夫との間に子を設けていた場合のその子の相続権はどのようになるのでしょうか。

例えば、ABは夫婦で、AB間には子Cがいたとします。

ABは離婚し、子Cの親権者はBと決定しました。

その後、B子Cを連れ、Dと再婚し、BD間には子Eが生まれました。

ここで、ABDが亡くなった場合、Cの相続権はどうなるかについて考えてみます。

まず、Aが亡くなった場合、ABの離婚はCの相続権について影響を与えないので、CはAの相続人となることができます。

また、Bが亡くなった場合には、当然、CはBの相続人となります。

しかし、Dが亡くなった場合には、CはDの相続人と離れません。

その理由は、ABの離婚及びBDの再婚があっても、CはABの子であることには変わりはなく、Bの再婚相手であるDとCは、事実は別として法律上は無関係であるからです。

なお、ここでDとCが養子縁組をした場合には、例外的にCはDの相続人となることができ、その場合の法定相続分はBDの子Eの法定相続分と等しくなります。