相続の際の不動産取得税がかかるケースを知りたい!
相続で不動産を取得するといろいろな税金がかかることはご存じのとおりです。
そして、不動産相続に関する税金のことを考える中でよくあるのは「不動産を相続して取得したから、不動産取得税がかかるのでは?」という疑問です。
今回は、不動産取得税を焦点に当てて、不動産取得税が課税されるケースや軽減措置などのことを学んでみましょう。
相続時は不動産取得税がかからない?
不動産取得税という名称から「不動産を取得したら不動産取得税がかかる」と勘違いしている人が大勢います。
実はこれが大きな間違い。
そもそも相続とは、ある程度は予見できていたとしても相続人にしてみれば突然起こる出来事でしょう。
突然の出来事のために不動産を取得したからといって課税されるのは不条理です。
そのため、相続は不動産取得税の課税対象に含まれていません。
不動産取得税は、不動産の購入や贈与を受けたなどの場合に発生する税金です。
相続では不動産取得税が発生しないという事実は、事前に知っておくと少し気が楽になるでしょう。
不動産取得税が課税されるケースは?
不動産取得税が課税されるのは
- 売買
- 新築
- 増改築
- 贈与
- 交換
などの場合です。
しつこいようですが、相続は非課税です。
売買や新築などは経緯がシンプルなので説明の必要はないでしょう。
ここで特に紹介したいのは『贈与』です。
不動産の持ち主が、存命中に第三者に不動産を譲ることを『生前贈与』と呼び、生前贈与には不動産所得税が課税されます。
ところが、遺言に「長男○○に、△△の土地建物を遺贈する」などと財産を特定して遺言書を作成しておけば、遺言を執行した相続とみなされるので不動産取得税は課税されません。
これを『特定遺贈』と呼び、特定遺贈は法定相続人が受遺者であれば不動産取得税が課税されません。
負債を相続する必要もなくなるので、不動産を明確にすれば不動産のみを遺贈することができます。
なお、法定相続人以外に遺贈する場合は、相続とみなされないの不動産取得税が課税されます。
不動産取得税の軽減措置とは?
不動産取得税の基本税率は、土地・建物ともに「固定資産税評価額×4%」です。
平成30年3月31日までは特例によって
- 土地および住宅は3%
- 住宅以外の家屋は4%
に軽減されています。
また、平成30年3月31日までは
- 新築住宅の場合、建物は1,200万円の特別控除、土地は固定資産税評価額が1/2
- 中古住宅の場合、建物は築年数に応じて100万円から最大1,200万円の特別控除、土地は固定資産税評価額が1/2
にそれぞれ軽減措置がとられています。
優れた耐震性や省エネルギー性が認められた『認定長期優良住宅』 を新築した場合は特別控除額が1,300万円になり、登録免許税も軽減されます。
軽減措置を利用すれば、通常は10万円以上の課税を受けるケースが数万円程度に軽減できる、最大では非課税になるケースもあるので、軽減措置がとられていることは覚えておいたほうがよいでしょう。
まとめ
不動産取得税のことをお話ししましたが、少しおさらいしておきましょう。
- 相続の場合、不動産取得税は課税されない
- 贈与は不動産取得税が課税されるが、遺言で財産と相続人を特定する『特定遺贈』の場合は相続とみなされて不動産取得税が課税されない
- 平成30年3月31日までは不動産取得税の軽減措置がとられている
そもそも相続は非課税ですが、特別遺贈を利用すれば『負の遺産』を引き継ぐことなく不動産を遺贈することができます。
子孫のために賢く財産を残したいものですね。