意外と難易度が高い!?信託登記の抹消手続きについて
不動産を信託財産とする信託をすると、受託者への所有権移転登記と併せて信託の登記がされます。
これは受託者が所有者ではあるものの、あくまでも信託を目的とするものであり受託者の固有資産とは分別管理されるものであることを公示することが目的です。
一方、信託契約等で定めた信託の終了事由が生じると、信託財産の帰属先として予め定められた者に所有権が移転するとともに、信託登記の抹消が必要になります。
今回は、信託登記の抹消手続きについて解説したいと思います。
信託登記抹消の概要
信託登記は、信託契約等の内容に応じて、下記のような場合に抹消すべき登記となります。
(1)信託財産の処分による抹消
受託者が信託財産である不動産を第三者に売却して、売却代金を信託財産とする場合等。
(2)信託終了による抹消
信託終了事由の発生や、信託の目的達成又は不達成が確実となって信託が終了した場合等。
(3)受託者の固有財産に属したことによる抹消
信託財産の帰属先を受託者として信託が終了する旨が、信託契約等で定められている場合等
(1)、(2)の場合は、所有権移転登記と同時に信託登記の抹消申請をします。
(3)の場合は、所有権変更という登記と同時に信託登記の抹消申請をします。
信託登記の抹消手続き
信託登記の抹消は、全ての場合で受託者が単独で申請できるとされています。
ただし、所有権移転や所有権変更の登記と同時に申請する必要があり、それらの登記は権利者と義務者が共同で申請する必要があります。
所有権移転登記は所有権移転を受ける人(買主や委託者)と受託者の共同申請であり、所有権変更登記は受託者と受益者の共同申請とされています。
不動産の登記を申請する時は、登記申請書という書類を法務局に提出する必要がありますが、信託や信託登記抹消の登記申請の場合は、他の原因(売買や贈与等)と比べると少し特殊な内容になります。
例えば、登記申請書に記載する登記の目的は、一般的には「所有権移転」等となりますが、信託登記の抹消の場合は、「所有権移転及び○番信託登記抹消」となります。
また、登記申請書に記載する登記の原因も一般的には「平成○年○月○日売買」や「平成○年○月○日贈与」等となりますが、信託の場合は「平成○年○月○日信託財産引継」という特殊な原因の記載になります。
最期に、信託の抹消登記の費用について確認しておきます。
信託登記の抹消に必要な実費としては、登録免許税として不動産1個につき1000円が必要です。
また、信託登記の抹消と併せて申請する所有権移転については不動産の固定資産評価額の2%の登録免許税が必要になります。
ただし、委託者・受託者・信託終了後の不動産所有権の帰属先の関係等に応じて税額が異なることがあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
以上解説した信託登記の抹消は、受託者等の本人でも可能な手続きではあります。
ただし、抵当権抹消登記等に比べるとやや難易度が高く、Webの検索等で得られる情報も限られています。
難しいと感じられたら、登記の専門家である司法書士に任せてしまいましょう。