これは知ってて当たり前?!相続税入門:暦年課税について
暦年課税とは、1年間に贈与された財産に対して贈与税を課税する方式のことを言います。
ほとんどの税金は、1年間に発生した所得に対して課税されますから、暦年課税は贈与税の一般的な課税方式ということができます。
以下では、この暦年課税について解説します。
暦年課税とは
暦年課税を行う場合には、まず、1年間に行われた贈与金額の総額を計算します。
その計算は、納税者が1年間に他人(個人)から譲り受けた財産の価額を合計することにより、行います。
次に、その合計額から贈与税の基礎控除額110万円を控除します。
そして、控除後の残額に贈与税率を乗じて贈与税の納税額を計算します。
贈与税率には、一般贈与財産用の税率と特例贈与財産用の税率の2種類の税率があります。
ここで特例贈与財産とは、直系尊属(父母や祖父母等)から贈与があった年の1月1日時点で20歳以上の子や孫に対して贈与が行われた場合の贈与財産が該当します。
一方、一般贈与財産とは、特例贈与に該当しない贈与が行われた場合の贈与財産が該当します。
具体的には、兄弟間、夫婦間等が該当します。
贈与税の税率について
一般贈与財産用の贈与税率(一般税率)は、贈与財産の価額が200万円以下の10%から、その価額が3,000万円超の55%まで8段階が設定されています。
一方、特例贈与財産用の贈与税率(特例税率)は贈与財産の価額が200万円以下の10%から同じくその価額が4,500万円超の55%まで8段階が設定されています。
どちらの税率も、贈与財産の価額が大きくなればなるほど税率が高くなる累進課税構造となっています。
特に、一般税率の場合には贈与財産の価額が1,500万円超、特例税率の場合にはその価額が3,000万円超となると、贈与財産の価額の50%以上が税金として徴収されます。
暦年贈与と相続時精算課税制度について
毎年、基礎控除の金額である110万円ずつ、10年間にわたって贈与を繰り返せば、1,100万円の財産を贈与税を支払うことなく、贈与することができます。
このように、毎年少額の贈与を繰り返すことを暦年贈与といいます。
暦年贈与は、贈与税の節約方法として有効な方法となります。
一方、贈与税の節約方法としては、相続時精算課税制度も有効な方法です。
これは、生前贈与を行う際、贈与者が相続時精算課税制度の選択を行えば、贈与財産の価額が2,500万円まで贈与税が非課税、それを超える価額については一律20%の贈与税を課税するというものです。
しかし、この制度を利用した贈与財産の価額は、贈与者に相続が発生した場合には、その相続税の計算の際に相続税の課税価額に含めます。
そして、相続税精算課税制度を利用して生前贈与を行った財産の価額を含んだ相続財産を基礎として計算した相続税額から、その制度によって支払った贈与税額があればそれを控除します。
控除後に支払うべき相続税の価額があれば、その価額が相続税の納税額となります。
この制度は、課税のタイミングを贈与時から相続時にずらすことにより、生前贈与時の贈与税の負担を軽減するという制度です。