不動産の相続財産評価方法は2種類ある!?
相続財産に土地や建物などの不動産が含まれていると、不動産の相続財産評価が必要になります。
そして、その評価は、国税庁で出している財産評価基本通達に基づいて行います。
土地の相続財産評価の方法について
相続財産である不動産の評価方法は、2種類あります。
1つは、路線価方式であり、もう1つは、倍加方式です。
路線価方式は、路線価が設定されている市街化地域にある宅地に適用される評価方法です。
一方、倍率方式は、郊外にある宅地や農地、山林、原野等に使用される評価方法です。
路線価方式による土地の評価について
路線価とは、宅地が面している道路に付けられた値段です。
この路線価は、国税庁のホームページに全国各地の路線価図が閲覧できるので、それを調べることにより確認することができます。
市街化地域にある宅地の相続財産評価は、この路線価をベースに、一定の補正を加えることにより決定されます。
路線価は、該当する道路に面した宅地の価額の1㎡当たりの金額を1,000円単位で表示します。
例えば、路線価図上の道路ごとに1,000Aや25Gなどと表示されています。
X通りに1,000Aの表示があれば、その通りに面している宅地の評価額は100万円/㎡で評価することを意味します。
また、Y通りに25Gの記号があれば、その通りに面している宅地の評価は、2万5千円/㎡で評価することを意味します。
このように、市街地の宅地を評価する場合には、その宅地に面している道路に設定された路線価に、宅地面積を乗じてその基本的な価額を計算します。
特殊事情による補正について
評価対象の宅地が、間口が狭小地、不整形地、一部ががけ地である、無道路地である等の特殊な事情がある場合、通常の路線価に基づいて評価した価額に、土地の特殊事情により設定された補正率を乗じた金額が、相続財産評価額となります。
例えば、路線価が10万円/㎡、地積が100㎡の普通住宅地にある宅地の本来の相続財産評価額は10万円/㎡×100㎡=1,000万円ですが、この土地が間口4m未満の間口狭小地である場合、普通住宅地の間口4m未満の間口狭小地の補正率は0.9ですから、この土地の評価額は1,000万円×0.9=900万円となります。
借地権割合について
なお、AとかGとかいう路線価に付されたアルファベット記号は、借地権割合を表示しています。
例えば、Aは借地権割合が90%、Gは30%ですので、X通りに面している借地権が設定されてる宅地の評価額は、宅地面積×100万円/㎡×(1−90%)で計算されます。
一方、Y通りに面している借地権の設定された宅地の評価額は、宅地面積×2万5千円/㎡×(1−30%)となります。このように、借地権が設定されている土地の財産評価は、通常の評価額に、1から借地権割合を減じた割合を乗じて計算します。
倍率方式による土地の評価について
郊外にある宅地、農地、山林、原野等の相続財産評価は、倍率方式により行います。
倍率方式とは、評価対象地の固定資産評価額に国税庁が定める一定の倍率を乗じた価額を、相続財産評価額とする方法のことを言います。
なお、倍率については、国税庁のホームページから全国各地の倍率表を閲覧できますので、それにより、評価対象地に適用される倍率を確認することができます。
例えば、A土地の固定資産評価額が100万円、その土地が所在する地域に設定された倍率を1.1とすると、A土地の相続財産評価額は、100万円×1.1=110万円となります。
ちなみに、相続登記の際には、登録免許税の算定のために、必ず、固定資産評価額を調べなくてはなりません。
よって、倍率方式で財産評価を行う地域に所在する土地を相続する場合には、登記のために取得する固定資産評価証明書から、比較的簡単に土地の相続財産評価が行えます。
小規模宅地等の特例について
被相続人の配偶者や子供等一定の要件を満たす親族が、被相続人の居住用又は事業用の宅地を相続により取得した場合、一定の限度面積まで、その土地の相続財産評価額を50%〜80%減額した価額とすることができる特例のことを小規模宅地の特例といいます。