知ったつもりになっていませんか?二次相続まで考えて賢く節税したい!
『二次相続』という言葉はあまり耳慣れない方も多いでしょう。
しかし、財産相続のことをよく考えてみれば、誰しもが直面する問題です。
もし両親がご健在で、これから相続のことを真剣に考える必要がある方は、ぜひ二次相続を考えた相続について検討して頂きたいと思います。
今回のテーマは二次相続ですが、事例をもとにするほうが理解しやすくなるので、
- 夫と妻の2人暮らし、成人した子どもが2人、夫の資産は4億円
- 相続の割合は法廷相続分どおり妻が2分の1、子どもが4分の1ずつ
という家庭を例に考えていきましょう。
二次相続とは?
まずはこの耳慣れない用語を解説しましょう。
二次相続とは、読んで字のごとく「二回目の相続」を指します。
事例で考えてみましょう。
夫が亡くなることで、妻と子ども2人は夫の遺産を相続することになります。
財産分与も滞りなく終わり、それぞれが相続税を支払った後、1年後に妻も亡くなりました。
すると、子ども2人は1年前に父の財産を、1年後に母の財産を立て続けに相続することになります。
この「母からの相続=二回目の相続」のことを二次相続と呼びます。
二次相続は、一次相続の時点と比較すると法定相続人が減るため基礎控除額が減ってしまい、さらに課税価格があがるため税率も上がってしまいます。
二次相続における優遇措置とは?
二次相続について解説しましたが、こう聞くと「連続で相続税を支払うことになるから、子ども2人の負担は重くなるのでは?」と感じるでしょう。
事実、短い期間で連続して高額の相続税を支払うことは、子どもたちの身にすれば大きな負担になります。
かといって、基本的に相続は突然発生するものであり、その場その時に対策ができるものでもありません。
そのため、二次相続が発生してしまった場合には『相次相続控除』という制度があります。
相次相続控除とは、最初の相続と二次相続の間が10年以内の場合、二次相続で亡くなった人が最初の相続で納めた相続税分から1年につき10%ずつ減額した金額を、二次相続で控除するという制度です。
先ほどの家庭を例にすると、夫が亡くなって妻が相続する対象額は2億円で、これに対して支払った相続税額から10%を減額した金額が二次相続で控除される計算になります。
相続税を節約する『二次相続対策』とは?
事例の家庭では、子どもたちは父の遺産に対して相続税を支払い、翌年には母が父から相続した財産をさらに相続して相続税を支払うことになるので、短い期間に二度も高額な相続税を支払うことになります。
二次相続を受ける子どもたちに負担をかけないためにも、最初の相続時点で二次相続まで考慮した財産分与が必要です。
二次相続対策の方法を紹介しましょう。
- 子どもに多く財産を分与しておく
単純な考え方として、最初の相続の段階で子どもに多く財産を分与しておけば、二次相続における相続税額は減らすことができます。
配偶者の相続税の基礎控除額は1億6,000万円なので一次相続の相続税は大幅に軽減できますが、二次相続で子どもたちに負担を強いることにもなりかねないので、一次相続の時点で子どもに多く財産を分与することは有効です。
- 子どもに不動産を相続させる
配偶者が不動産を相続してしまうと、二次相続が発生するまでに家賃収入などで相続財産が増えてしまうことがあります。
一次相続の際に配偶者は現金で、子どもは不動産で相続すると、二次相続の際に子どもが相続税を支払いやすくなり、子どもにかかる相続税も軽減できます。
- 生命保険を活用する
一次相続で配偶者が得た財産を生命保険に払い込み、保険金の受取人を子どもにしておけば、二次相続が発生した時点で課税対象額が減額されたうえで、保険金が支払われて子どもに資産が多く残せるようになります。
保険商品の中には、二次相続対策の商品として子どもが契約者であり保険金受取人となって親を被保険者とすることで相続税が課税されないようにできるものもあるので、一考の価値があるでしょう。
まとめ
二次相続まで考えた節税の方法をご紹介しましたが、ここでおさらいをしておきましょう。
- 二次相続は法定相続人が少なくなるため、基礎控除額が減少し税率が上がる。
そのため、一次相続で節税したつもりが二次相続で子どもが多額の相続税を支払うことになる場合がある。
- 二次相続が発生した場合は10年間の相次相続控除が適用され、二次相続の相続税が一部控除される。
- 二次相続での負担を軽減するには、一次相続で財産を子どもに多く分与する、不動産は子どもに相続させる、相続財産で生命保険に加入して二次相続時の財産を残すなどの方法がある。
一次相続時に節税をしたつもりが、二次相続で子どもに負担を強いることになったケースは少なくありません。
子どもたちに負担をかけないためにも、最初の一次相続時点でしっかりと先を見据えた財産分与を考える必要があるでしょう。