知っておきましょう!相続による所有権移転登記の手続きについて
はじめに
人が亡くなると様々な手続きが必要です。
亡くなった直後は、精神的に余裕の無い中で葬儀の手配や死亡届を提出したりで精一杯です。
その後、社会保険、生命保険、銀行の預金の手続きやクレジットカードや携帯電話の解約等、必要に迫られたり思いついたりする手続きに追われるものです。
そんな中で、ついつい後回しにして忘れてしまうのが不動産の名義変更(所有権移転登記)です。
以下では、相続による所有権移転登記(相続登記)について解説します。
不動産を相続したら必ず所有権移転登記をしないといけないの?
不動産を相続しても、所有権移転登記についての法律上の義務はありません。期限もありません。
相続税の申告が必要な場合は、申告期限である相続開始(=被相続人の死亡日)から10ヶ月以内に遺産の分割を済ませて登記までしてしまうケースも多いですが、大半の相続では相続税の申告も不要で、期限を意識することもありません。
また、相続登記をせずに故人名義のままにしていても、当面は具体的に不都合が無いことも手続きを忘れてしまう原因の1つです。
ただし、困らないのはあくまでも「当面」の間だけです。
故人名義のまま長期間放置していると、相続人の中に亡くなる方が出てきて、次の相続が発生する場合があります。
このことが繰り返されると、元々は親子や兄弟の近い関係の少人数の共有状態だった不動産が、疎遠かつ多人数の親族間の共有になってしまいます。
そうなると、いざ売却等しようと思っても相続人間で協議がまとまらず、手続きが進められなくなる等の不都合が生じます。
余談ですが、東日本大震災の復興が遅れている原因の1つに、既に他界している先代や先々代名義のままになっている被災地の土地が多く、現在の所有者の特定に手間がかかっているという点が挙げられています。
相続登記の具体的な手続き
相続登記をするためには、相続人の間で話合いをして誰が不動産を相続するのか合意をする必要があります。
複数の相続人のうち、誰か1人の名義にしても良いですし、複数の相続人の共有名義としても良いです。
上記の合意が調ったら、必要書類を揃えて不動産所在地を管轄する法務局に行き、登録免許税という税金の納税のための収入印紙と併せて提出することで、登記の申請をします。
相続登記の必要書類
代表的な相続形態である親子間・夫婦間の相続登記の必要書類を以下に示します。
・登記申請書
・被相続人の出生~死亡の間の全ての戸籍・除籍・改製原戸籍の謄本
・相続人の現在の戸籍謄本(又は戸籍抄本)
・被相続人の住民票除票又は戸籍の附票(被相続人の登記簿上の住所と最期の住所の繋がりを確認できるものが必要です)
・不動産の相続する相続人の住民票
・遺産分割協議書(相続人の印鑑証明書を添付)
・相続する土地/建物の固定資産評価証明書
上記のうち、登記申請書と遺産分割協議書は作成する必要がある書類で、その他の書類は役所で取得する書類になります。
作成書類については、法務省のWebサイト等で雛形が公開されているので参考にしても良いでしょう。
もし、司法書士へ手続きを依頼する場合は、印鑑証明書以外の書類の収集や作成は全て任せることができます。
相続登記の費用
相続登記で必ず必要な費用は、登録免許税という税金です。
どれだけの税金を支払うかというと、名義変更する不動産の固定資産評価額の0.4%とされています。
例えば、評価額が3000万円の土地と建物の相続登記をすると、12万円の登録免許税が課税されるということです。
司法書士に依頼する場合は、司法書士の報酬が別途必要になります。司法書士の報酬は各事務所の基準や案件の複雑困難性等によって上下しますが、5〜10万円程度が目安でしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、相続登記の手続き概要について説明しました。
相続登記の複雑さや専門的知識の必要性は、個々の相続案件ごとに異なります。
相続登記を、依頼するか自分でやってみるか判断に迷われる方は、一度気軽に相談してください。
最後まで読んで頂きありがとうございました。