これは知っておきたい!「所有権移転登記」って何?
はじめに
「所有権移転登記」という言葉を聞いても、不動産の売買や相続の経験が無い方にとっては馴染みが薄いかもしれません。
所有権移転登記というのは、いわゆる不動産の名義変更の手続きのことだと理解していただければ良いです。
経験者の方は分かると思いますが、「所有権移転=不動産の名義変更」はそれなりにお金がかかります。
今回は、「何故、名義変更が必要なの?」「具体的にどんな手続きをすればいいの?」といった疑問にお答えしていきたいと思います!
そもそも不動産の「登記」とは?
不動産の登記とは、重要な財産である不動産について、その物理的状況(所在や面積等)と権利関係(所有者の名前や担保権の有無等)を法務局(国)が管理している登記簿に記録して公示をする制度です。
所有権移転登記をしないと、どんな不都合があるのでしょうか?
例えば、土地を買った場合を考えてみます。
売買の契約を結んで代金を支払えば、その土地は自分のものになります。
ところが、きちんと所有権移転登記をして名義を変えておかないと、その土地が自分のものであることを第三者に主張したり証明することができません。
具体的に言うと、自分の所有物であるのに売却してお金に変えたり、担保に入れて融資を受けたりすることが事実上できません。
また、自分の土地を不法占拠している者がいる場合に、明渡しを求めて裁判をしても自分の権利を認めさせることができないのです。
どんなときに「所有権移転登記」をするの?
1つは売買、贈与、財産分与等の新・旧の所有者間で契約をして、その結果として不動産の所有者が変わった場合です。
もう1つは、不動産の所有者が亡くなって不動産が相続された場合です。
売買等の場合は、契約の一連の流れで所有権移転登記まですることが多いのですが、相続の場合は登記の手続きを忘れがちです。
所有権移転登記は誰に頼めばいい?
所有権移転登記を含む登記手続きの専門家は司法書士です(土地の分筆や建物の増改築の登記は、土地家屋調査士です)。
では、専門家に依頼せず自分で手続きすれば、安上がりになったりしないのでしょうか?
相続や贈与等による所有権移転登記なら当事者本人で手続きすることも可能です。
インターネットで調べたり、法務局の相談窓口で相談をしてみて自分で出来そうか判断してみても良いでしょう。
一方、住宅ローンを組む売買による所有権移転登記は、当事者本人でするのは事実上困難です。
買主・売主・金融機関はそれぞれが「お金を払ったのに自分の名義に出来ないリスク」・「名義を変えてしまったのにお金をもらえないリスク」・「融資をしたのに担保が取れないリスク」という対立するリスクを抱えた立場にあります。
このような三すくみの状態にある当事者の間に入って、一括して手続きを進める保証をするのが専門家となります。
費用や必要書類は?
所有権移転登記の費用の大半を占めるのが、登録免許税という税金です。
どれくらいの税額かというと、相続による所有権移転登記の場合は、登記をする不動産の固定資産評価額の0.4%とされています。
また、相続以外の原因での所有権移転登記の登録免許税は、固定資産評価額の2%とされています(ただし、売買の場合は一定の軽減措置があります)。
司法書士に依頼した場合は、登録免許税以外に報酬として数万円程度必要になります。
必要書類には、どんなものがあるのでしょうか?
相続による所有権移転登記の典型的な必要書類は、以下のとおりです。
- 相続関係を証明するための戸籍類
- 亡くなった方の住民票の除票
- 不動産を相続する人の住民票
- 遺産分割協議書(相続人が実印で押印して印鑑証明書を添付)
売買や贈与等による所有権移転登記の典型的な必要書類は、以下のとおりです。
- 登記原因証明情報(当事者や契約内容を記載した書面)
- 旧所有者の印鑑証明書
- 新所有者の住民票
- 不動産の権利証
以上のような書類と併せて、登記申請書という書類を法務局に提出して、所有権移転登記の申請をします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、所有権移転登記について概要を解説しました。
相続や親族間の贈与のように当事者間に利害の対立がなく、資金の移動もないような所有権移転であれば、自分で勉強しながら申請してみるのも1つの選択肢でしょう。
最後まで読んで頂きありがとうございました。