知ってると便利!相続税率を知って相続税を計算してみよう!
これから相続を控えている方にとって、自身に課せられる相続税がどれくらいになるのかは大きな気がかりでしょう。
詳細な税額はわからなくても、税率がわかれば、判明している相続財産から大まかな金額を試算することは、今後のライフプランを計画することや相続税対策を考えるために非常に有効です。
今回は、相続税率の仕組みから相続税を計算することを勉強してみましょう。
まずは『課税遺産総額』を計算しよう
相続税の計算をするにあたっては『課税遺産総額』を計算する必要があります。
順を追って説明しましょう。
まずは『正味の遺産額』を確定する必要があります。
正味の遺産額とは、不動産や預貯金などの『プラスの財産』から借金や未払い金などの『マイナスの財産』を差し引き、さらに生命保険金などから非課税控除分が差し引かれたものを加算した金額を指します。
正味の遺産額が確定すれば、次は正味の遺産額から『基礎控除額』を差し引きます。
基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」です。
例えば、法定相続人3人が相続する場合は
3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円
になります。
正味の遺産額から基礎控除額を差し引いて導かれた金額が『課税遺産総額』になります。
『相続税率』と『控除額』を導き出そう!
計算した課税遺産総額を、さらに法定相続人の人数から『相続割合』に応じて按分します。
相続割合は
- 配偶者が1/2
- 子が1/2から人数で等分
です。
これで、各相続人が相続する金額が決定します。
按分された課税額に応じて『相続税率』と『控除額』が決められています。
相続税率と控除額は
- 1,000万円以下で10%
- 3,000万円以下で15%(控除額50万円)
- 5,000万円以下で20%(控除額200万円)
- 1億円以下で30%(控除額200万円)
- 2億円以下で40%(控除額700万円)
- 3億円以下で45%(控除額1,700万円)
- 6億円以下で50%(控除額4,200万円)
- 6億円超なら55%(控除額7,200万円)
です。
6億円を超えると相続税率は一律になるので、最高税率は55%ということになります。
ちなみにこの55%という最高税率は、世界で最も高い相続税率です。
自分の相続税を計算してみよう!
相続税率の導き方を紹介したので、実際に相続税の計算をしてみましょう。
例題として
- 正味の遺産額が1億円
- 亡くなったのが夫
- 法定相続人が妻と子ども2人
という家庭があると仮定してみます。
まず、基礎控除額を計算します。
基礎控除額は
3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円
です。
4,800万円が控除されるので、正味の遺産額から基礎控除額を差し引くと
1億円-4,800万円=5,200万円
が課税遺産総額になります。
課税遺産総額を相続割合で按分して各人の課税額を計算すると
- 妻が1/2の2,600万円
- 子が2,600万円の1/2ずつで各1,300万円
になります。
各人の課税額が1,000万円を超えて3,000万円以下なので
相続税率は15%、控除額は50万円
です。
各人の課税額に相続税率をかけあわせると
- 妻は2,600万円×15%=390万円
- 子は1,300万円×15%=195万円
となり、さらにそれぞれ相続税率に応じた控除額が差し引かれるので
- 妻は390万円-50万円=340万円
- 子は195万円-50万円=145万円
が各人の相続税になります。
まとめ
相続税率の導き出し方から相続税の計算方法を紹介しました。
例題は便宜上の金額や分かりやすい法定相続人数を挙げたので計算はカンタンでしたが、実際はもう少し複雑になるでしょう。
それでも、プラスの財産とマイナスの財産がはっきりしていて正味の遺産額が確定しやすければ、電卓ひとつで相続税は計算できるはずです。
専門家に相談するのが最も確実な方法ですが、相談前に概算値を自分で導き出しておくことは『予習』としても良いでしょうね。