倍率方式とは?倍率方式の計算方法を知りたい!
土地の相続税を計算するために用いられるのが『相続税路線価』です。
相続税路線価は、国税庁が公表している路線価図を元に算出する『路線価方式』と、評価倍率を用いて算出する『倍率方式』があります。
路線価はあくまでも「道路の価格」という考え方で、国税庁が公表する路線価図は主要な市街地を走っている道路に限って設定されています。
そのため、多くの地域では路線価方式による算出ができず、倍率方式が採用されます。
今回は『倍率方式』の計算方法に焦点を当ててみましょう。
評価倍率を調べてみよう!
倍率方式で利用される『評価倍率』は、国税庁のホームページから『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表』から調べることができます。
倍率方式の計算方法は「固定資産税評価額×評価倍率」で算出するので、単純に概算値を計算するには評価倍率が判明すれば計算ができます。
例えば、固定資産税評価額が5,000万円の土地の場合、評価倍率が1.1だとすれば、相続税路線価は5,500万円になります。
評価倍率表を見てみよう!
評価倍率表を確認すれば評価倍率が分かることを説明しましたが、評価倍率は土地の『地目』によって異なります。
評価倍率表には
- 宅地
- 田
- 畑
- 山林
- 原野
- 牧場
- 池沼
という地目が設定されており、一般的に宅地の倍率が最も低く、その他の地目は固定資産税評価額の数倍~数十倍が設定されています。
具体的な倍率が表示されず『比准』『市比准』『周比准』と表記されている場合は、付近の宅地の価格と比准して評価することを表しています。
この方式を『宅地比准方式』といいます。
宅地は倍率が低く、田や畑などは数十倍の倍率が設定されていると聞くと、田や畑などの相続税が高くなるのでは?と感じるかもしれません。
しかし、田や畑などは元々の固定資産税評価額が非常に安価なので、数十倍にしたところで宅地の評価額には到底およびません。
『借地権割合』とは?
評価倍率表には『借地権割合○%』と表記されています。
『借地権』とは、土地の賃貸借契約を結んで土地を有償で借り受け、その土地の上に建物を建てている場合に発生する「土地を使用する権利」のことです。
借地権は単なる契約ではなく財産の一つと考えられており、相続の際にも相続財産として見る必要があります。
相続した土地の上に他人の建物があれば、建物の所有者には借地権があるので、いかに土地の所有者といえでも建物の所有者の権利を排除して勝手に土地を処分することができません。
よって、借地権が設定されている土地は、相続後の活用方法が限定的になってしまう不利な土地だといえるでしょう。
借地権割合は地価が高い地域ほど高くなり、都心の商業地では90%程度になることもあります。
都心では商業施設やマンションなど、借地権が設定されているからといっても不利な状況ではないことが多いので、価値を減算する必要がないと考えるようです。
全国的には、宅地では概ね30~60%未満に減算されます。
まとめ
相続税路線価の計算方式として『倍率方式』の計算方法を紹介しました。
カンタンにおさらいしておきましょう。
- 倍率方式は「固定資産税評価額×評価倍率」によって求められる
- 評価倍率は国税庁のホームページに掲載されている『財産評価基準書 路線価図・評価倍率表』から調べることができる
- 対象となる土地の地目を評価倍率表に当てはめることで評価倍率が決定する
- 借地権が設定されている場合、借地権割合に応じて固定資産税評価額から減算して評価する
路線価方式と比べると、土地の状況などの補正がない分だけ概算値を計算するのは易しいかもしれません。
もちろん、きちんとした相続税額を確定するのは税理士など専門家の力を借りるのが一番ですが、概算値を求めることができれば「どれくらいの相続税がかかるのだろう?」と前もって話し合う場合には有効でしょう。