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東京家庭裁判所の相続放棄について

被相続人が多額の借金を残して亡くなったような場合には、相続で相続人が損をする場合があります。

そのような場合には、相続放棄をする方法が考えられます。

そこで、以下では、相続放棄の手続きや費用、必要書類について解説します。

相続放棄の手続きについて

相続放棄の手続きは、被相続人の最後の住所地を所轄する家庭裁判所に対して行います。

例えば、被相続人の最後の住所が東京23区内あれば、東京家庭裁判所が相続放棄の手続き先になります。

また、被相続人の最後の住所が、立川市、府中市、武蔵野市などであれば、東京家庭裁判所立川支部が、相続放棄の手続き先となります。

相続放棄手続きは、管轄の家庭裁判所に対して相続放棄申述書を提出することで行います。

相続放棄申述書は、家庭裁判所の窓口で交付を受けることができるほか、裁判所のホームページからダウンロードによっても入手することができます。

相続放棄申述書には、以下の事項などを記載します。
(1)相続放棄をする者(申述人)の本籍、住所、氏名、生年月日、職業、年齢、電話番号
(2)申述人と被相続人の続柄
(3)申述人が未成年者である場合には、その法定代理人等の住所、氏名、電話番号
(4)被相続人の本籍、最後の住所、死亡当時の職業、氏名、死亡年月日
(5)相続放棄の理由
(6)相続財産の概略

なお、相続放棄の申述は、相続放棄を行う者が被相続人の死亡を知った時から3か月(熟慮期間内)に行わなくてはなりません。

熟慮期間経過後に行った相続放棄の申述は無効です。

また、家庭裁判所に申述書を提出しないで、相続人間で行う相続放棄の合意もその効力を有しません。

相続放棄の費用について

相続放棄の申述書には、手数料として申述人1人当たり800円分の収入印紙を貼付しなくてはなりません。

また、申述書の提出の際、連絡用郵便切手(どのくらい必要かは各家庭裁判所に確認します。)が必要になります。

その他、相続放棄の申述書には、戸籍謄本や被相続人の住民票除票が必要となりますので、その取得代金が必要になります。

相続放棄申述書の必要書類について

相続放棄の申述に必要となる書面は、以下のとおりです。
(1)相続放棄申述書
(2)被相続人の住民票除票又は戸籍の附票
(3)相続放棄の申述をする者の戸籍抄本
(4)被相続人の出生から死亡までの身分関係を明らかにする戸籍謄本等

相続放棄申述受理証明書について

被相続人が多額の借金を残して亡くなった場合で、裁判所に相続放棄の申述をして相続放棄を行った場合には、裁判所から相続放棄申述受理証明書の交付を受けておきます。

そうすると、被相続人の債権者から借金の取り立てを受けた時に、その証明書を債権者に提示すれば、債権者は借金の取り立てができなくなります。

相続放棄をした者が相続放棄申述受理証明書を取得する手続きは、以下の書面を添えて、相続放棄の申述をした家庭裁判所に郵送することで行います。
(1)相続放棄申述受理申請書(裁判所のホームページからダウンロード可能)
(2)申請者の身分証明書(運転免許証等)のコピー
(3)利害関係疎明資料(申請者の戸籍謄本と、被相続人の除籍謄本等)
(4)手数料として収入印紙150円分
(5)返信用封筒
(6)返信用郵便切手

相続放棄照会について

相続人又は被相続人の利害関係者(債権者等)は、相続放棄又は限定承認の申述の有無について、家庭裁判所に照会することができます。

その際には、照会申請書に被相続人目録を添えて、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して照会申請を行います。

なお、この照会に関する手数料は無料です。

限定承認について

相続人の相続に関する態度には、相続放棄の他に、限定承認というものもあります。

これは、被相続人に債務がある場合には、被相続人の相続財産によって返済できる範囲内においてのみ、相続するという条件を付けて、相続を承認するという態度です。

この限定承認も、相続放棄と同様に、相続人全員が相続のあったことを知った時から3カ月以内に、家庭裁判所に限定承認の申述書を提出することで行います。

ただし、相続放棄の申述とは異なり、限定承認の申述は相続人全員が共同で行う必要があります。