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相続税の脱税について

相続税の確定申告は、相続人が相続の開始を知った時の翌日から起算して10か月以内に行わなくてはなりません。

では、この確定申告をしなかったり、確定申告に虚偽の記載をして脱税を行った場合には、どんなことが起こるのでしょうか。

以下で解説します。

相続税の確定申告をしなかった場合について

相続財産が、3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算される基礎控除額を超えるにもかかわらず、相続税の確定申告をしていないとします。

すると、税務署が、相続税が課税されるにもかかわらず申告がされていないことを発見すると、税務署が調査の上で税額を計算して、決定通知書による課税が行われます。

その際、通常の税額の他に、その税額に15%を乗じた無申告加算税が課税されます。

例えば、決定により支払いが命じられた相続税の納税額が100万円であった場合、無申告加算税は100万円×15%=15万円なので、納税額の合計額は115万円となります。

ちなみに、15%とは、納税義務者がうっかり相続税の確定申告をしなかった場合等の税率です。

一方、納税義務者が仮装又は隠蔽工作によって相続財産の評価額を偽り、相続税の確定申告をしなかった場合には、この税率は40%となります(重加算税)。

さらに、この無申告加算税の他に、法定納期限から納税額の完納の日までの日数に応じ、納税額に7.3%又は14.6%の税率を乗じた延滞税の支払も必要になります。

ここで、法定納期限とは、相続人が相続の開始を知った時から10か月目の日です。

相続税の確定申告の更正について

相続税の確定申告は行ったものの、その後の税務調査で、税の申告漏れが見つかり、税務署から追徴課税を命じられることがあります。

これを、更正といいます。

更正があった場合には、追徴される税額に加え、追徴される税額に10%を乗じた過少申告加算税が徴収されます。

例えば、税務署の調査によって30万円の追加の税金の支払いが命じられた場合に、30万円×10%=3万円の過少申告加算税の支払いも同時に命じられます。

なお、更正があった場合も、法定納期限の翌日から追徴税額の完納の日までの日数に応じ、追徴税額に7.3%又は14.6%を乗じた延滞税も合わせて徴収されます。

さらに、仮装や隠ぺい工作を用いて過少申告を行ったような悪質な納税者に対して更正を行う場合には、過少申告加算税の税率は10%ではなく35%となります。

相続税の確定申告は初めから税理士に依頼した方が安全です

名古屋国税局が発表したデータによると、平成21事務年度の相続税の実地調査の件数は2,049件で、そのうち、申告漏れ等のあった件数が1,758件となっています。

実地調査の全件数に占める申告漏れ等の非違があった件数の割合は85.8%となっています。

よって、1回の税務調査によって相続税の申告が見つかる可能性は80%以上と非常に高い率となっています。

申告漏れの多くは、単純な計算ミスや、相続税の課税価格への算入漏れ等の悪意のないものですが、それでもペナルティの過少申告加算税が課税されます。

相続税の申告は非常に複雑で間違いやすく、しかも、間違って申告し、後で税務調査で誤りが指摘されると、過少申告加算税が課税されます。

よって、相続税の確定申告は、相続人が自ら行わず、税の専門家である税理士に最初から依頼する方が賢明です。