代償分割

不動産の相続時に知っておきたい!代償分割とは

代償分割とは、例えば、相続財産が居住用の土地・建物のみであるような場合、被相続人と同居していた長男のみがその土地・建物を相続する代わり、他の相続人(被相続人の配偶者やその他の兄弟姉妹)には、相続分の代わりとして現金を支給するというような、遺産分割の方法をいいます。

代償分割の特徴について

複数の相続人がいる法定相続分による相続の場合、分割が困難な居住用不動産等は、相続により複数の相続人の共有になります。
その場合、その不動産に関する行為を行う場合には、各相続人は一部の行為を除いて単独で行うことはできず、原則として、他の共有者の同意を得なくてはなりません。

そうなると、各相続人の不動産の利用は大幅に制限されますし、共有者間の仲が険悪になった場合には、不動産の利用が事実上不可能になる場合もあります。
そのため、できるだけ、居住用の不動産などは、1人の相続人の単独所有とすることが望ましくなります。

ただし、相続財産の大部分を居住用の不動産が占める場合には、相続人の1人がその財産を単独で相続すると、他の相続人との不公平が生じます。
この不公平を是正するために、居住用不動産を取得した相続人が、他の相続人に対して金銭等の代償財産を交付します。

こうすることで、相続人間の不公平を是正しつつ、分割困難な相続財産を特定の相続人に相続させることで利用の便宜を図るというのが、代償分割の特徴です。

代償分割と相続税について

代償分割をした場合、不動産などの分割困難な相続財産を相続した者については、その不動産に関しては、原則として、不動産の相続税評価額から本人以外の相続人に交付した代償金を控除した金額が、相続税の課税対象財産となります。

一方、代償分割により代償金を受け取った相続人に関しては、受け取った代償金が相続税の対象財産となります。いずれの場合も、各人の遺産の課税価額を計算する際に、それぞれの金額を、遺贈又は相続によって取得した財産の価額に含めます。

代償分割と贈与税について

代償分割をする際、分割が困難な相続財産を受け取った相続人が、その相続財産以上の金銭を代償分割の代償金として支払うと、相続財産を超える金額について贈与税が課税されるので注意が必要です。

不動産に関する代償分割の場合には、代償分割の償金が相続財産である不動産の価額を超えるということは少ないのですが、死亡保険金などを代償分割する場合には、死亡保険金はみなし相続財産として、相続財産として扱われませんから、償金を支払うと、贈与税の対象となるので注意が必要です。

なお、分割困難な財産を相続した相続人が、その者以外の相続人に対して支払う代償金が分割困難な財産の価額を超えない場合でも、遺産分割協議書に「換価分割に伴う代償金であること」を明記していないと、通常の贈与と勘違いされて贈与税を課される場合があるので、注意が必要です。

代償分割と換価分割について

遺産分割の方法には、代償分割の他に、換価分割というものがあります。
換価分割というのは、現金で分割することが困難な相続財産を第三者に売却して、その代金を各相続人に配分するという方法のことを言います。

換価分割の場合、代償分割に比べて、分割困難な相続財産を各相続人間により公平に分配することができるというメリットがあります。

ただし、売却の際に譲渡所得税が発生しますので、このことが大きなデメリットになります。

代償分割と遺産分割協議について

遺言による指定がない場合、遺産は相続人全員の共有となります。代償分割は、相続人全員が共有する相続財産の分割(共有物分割)の方法の1つですので、原則として、相続人間の話し合い(遺産分割協議)によって行われます。

また、分割困難な財産を相続した者に十分な代償金の支払い能力がある場合など一定の要件を満たす場合には、相続人間の遺産分割協議が不調に終わった場合に行われる家庭裁判所の審判により、代償分割が決定される場合もあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、相続の代償分割について解説致しました。
不動産などの相続時などには、皆さんも気を付けてください!

最後まで読んで頂きありがとうございました。