不動産を現金化して相続する換価分割とは?
唯一の相続財産が不動産であり、相続人が複数いるような場合、その不動産を相続人の間でどう分けるかが問題となります。
その分け方の一つが、換価分割です。
今回は、この換価分割について解説していきます!
換価分割とは
換価分割とは、不動産などのそのままでは分割が困難な財産を、第三者に売却し、その代金を相続人の間で分割するというものです。
相続人の間に対象不動産に居住する者がいない場合などには、この方法が有効です。
遺産分割の方法としては、例えば、不動産は相続人A、現金は相続人C、有価証券は相続人Cなどと定める現物分割がもっとも簡便です。
しかし、唯一の相続財産が不動産で相続人が複数人ある場合には、現物分割を採用することは困難です。
このような場合に、換価分割などの方法が採用されます。
換価分割は譲渡所得税の対象となる
換価分割において気を付けなければならないことは、換価分割の対象財産を売却した代金には譲渡所得税がかかるということです。
譲渡所得税は、売却代金から対象財産の取得費用と譲渡費用を差し引いた残額に対して課税されます。
譲渡所得税の税率は、土地及び建物の場合、売却した財産の保有期間が5年を超える長期譲渡所得の場合は国税15%+地方税5%の計20%、保有期間が5年以内の短期譲渡所得の場合には国税20%+地方税9%の計39%となります。
居住用財産の譲渡所得税の特別控除について
不動産を換価分割をする場合には、便宜上、被相続人から相続人の1人に登記名義人を変更する相続登記を行い、その相続人が不動産を売却して、売却代金を他の相続人に分配します。
この場合、換価分割の対象となる不動産に相続人と同居していた相続人に対して、対象不動産の名義変更を行い、その相続人が不動産を売却した場合、居住用不動産を譲渡した場合の譲渡所得税の特別控除を受けることができます。
この特例を受けると、3,000万円までの譲渡所得は非課税扱いとなります。
換価分割と贈与税について
不動産の換価分割を行う場合、不動産の売却のために、相続人の1人に便宜上登記名義を直し、その者が不動産を売却して、売却代金を相続人間で分配する方法を採用することが多くなります。
この場合、見かけ上は、登記名義人となった相続人から、他の相続人に対して、現金の贈与があったようになります。
この際、この分配された現金は、贈与税の対象になるのでしょうか?
国税庁の質疑応答事例集によりますと、換価分割における不動産売却代金の配分としての金銭のやりとりは、贈与税の対象とならないことになっています。
よって、この代金は、相続税の課税対象になりますが、贈与税の課税対象になることはありません。
換価分割の手続きは税理士への依頼が安心
換価分割は、非常に複雑な手続きです。
しかも、方法を間違えると、払う必要のない贈与税や譲渡所得税の納税義務が発生したり、相続税額が大幅にアップしたりします。
ですので、換価分割で損をしたくない方は、気軽にご相談下さい!
手数料の節約のために、相続人の方がご自身で手続きをして、後から多額の税金を請求されて大損する可能性は十分に考えられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、少し複雑な換価分割についてご紹介しました。
手続きが複雑ですので、専門家にお任せしたいという方は、是非お問い合わせ下さい!
最後まで読んで頂きありがとうございました。