相続税で贈与される税率
子や孫等に財産を残したい場合、2つの方法があります。
1つは、生前に財産贈与を行う方法です。もう1つは、相続による方法です。
どちらの場合にもそれぞれ相続税と贈与税が課税されます。以下では、贈与税と相続税のそれぞれの税率について解説します。
贈与税の種類について
贈与税の税率については、特例贈与財産に適用される税率と、一般贈与財産に適用される税率の2種類の税率があります。特例贈与財産とは、20歳以上の子や孫などの直系卑属に対して行う贈与のことをいいます。
一方、一般贈与財産とは、特例贈与財産以外の贈与のことを言います
例えば、兄弟間の贈与財産や夫婦間の贈与財産、20歳未満の子や孫に対して行う贈与財産がこれに該当します。
ちなみに、Aの配偶者Bの父Cから行うAの子Dに対する贈与は、特例贈与ではなく一般贈与となります。
贈与税の税率について
特例贈与財産の贈与税率(平成27年1月1日以降に贈与があった場合)は次のとおりです。
・贈与財産の価額が200万円以下 10%
・同300万円以下 贈与財産の価額×15%−10万円
・同400万円以下 贈与財産の価額×20%−25万円
・同600万円以下 贈与財産の価額×30%−65万円
・同1,000万円以下 贈与財産の価額×40%−125万円
・同1,500万円以下 贈与財産の価額×45%−175万円
・同3,000万円以下 贈与財産の価額×50%−250万円
・同3,000万円超 贈与財産の価額×55%−400万円
一般贈与財産の贈与税率(平成27年1月1日以降に贈与があった場合)は次のとおりです。
・贈与財産の価額が200万円以下 10%
・同400万円以下 贈与財産の価額×15%−10万円
・同600万円以下 贈与財産の価額×20%−30万円
・同1,000万円以下 贈与財産の価額×30%−90万円
・同1,500万円以下 贈与財産の価額×40%−190万円
・同3,000万円以下 贈与財産の価額×45%−265万円
・同4,500万円以下 贈与財産の価額×50%−415万円
・同4,500万円超 贈与財産の価額×55%−640万円
なお、贈与税には110万円の基礎控除額がありますので、贈与財産から110万円を控除した金額を差し引いたうえで、
特例及び一般の区分に応じて、上記の税率を適用します。
相続税の課税遺産総額ついて
相続税を計算する場合には、
まず、被相続人が残した遺産のうち相続税の課税対象となるものをすべて合算して、相続財産総額を計算します。
相続財産総額から、(3,000万円+法定相続人の数×600万円)の計算式で計算される相続税の基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を算出します。
この課税遺産総額を法定相続分で按分し、各相続人に帰属する課税遺産額を計算します。
相続税の超過累進税率について
さて、各相続人に帰属する課税遺産額が決まったら、その金額に応じて、次の相続税率を乗じます。
・1,000万円以下 10%
・1,000万円超3,000万円以下 15%
・3,000万円超5,000万円以下 20%
・5,000万円超1億円以下 30%
・1億円超2億円以下 40%
・2億円超3億円以下 45%
・3億円超6億円以下 50%
・6億円超 55%
相続税の税額の計算について
各法定相続人の帰属する課税遺産総額に上記の超過累進税率を乗じると、各法定相続人に帰属する相続税額が求まります。
各相続人に帰属する税額は合算し、相続税の総額を求めます。
最後に、相続税の総額を相続人が実際に相続をした割合によって按分します。
これによって、各相続人が実際に納税する相続税額が決まります。
生前贈与に関する節税方法について
生前贈与に関する節税方法には、まず、暦年贈与があります。
これは、贈与税の基礎控除額が年間110万円であることを利用して、毎年110万円ずつ小分けにして贈与を行うことにより、贈与税の課税を避けながら生前贈与を行う方法です。
次に、相続時精算課税制度があります。
これは、60歳以上の方が20歳以上の推定相続人や孫に対して贈与をする場合に、
一定の手続きを踏むと、2,500万円まで贈与税非課税で贈与でき、2,500万円を超える分については一律20%の贈与税を課税するという制度です。
なお、贈与した方に相続が発生すると、この制度を利用して行った贈与財産は相続税の課税財産に加算されて相続税額が計算されます。
ただし、生前贈与の際に支払った贈与税があれば、支払うべき相続税額から生前贈与の際に支払った贈与税額は控除されます。
贈与税の最高税率は55%ですが、相続時精算課税制度を利用した場合には、
贈与金額がどんなに高額であっても20%を超えることはありませんから、特に高額の生前贈与を行う場合には、この制度を利用することによる節税効果は非常に大きくなります。
生前贈与を行うか相続させるのかの判断基準について
子や孫などに財産を承継させる方法には、贈与による方法と相続による方法がありますが、
どちらによる方法を採用するかを決めるには、生前贈与を行なった場合にかかる贈与税額と、相続した場合の相続税額との双方を比較して、その判断を行うことになります。