土地の貸し借りに興味がある方必見!定期借地権について
借地借家法の規定は、借地権者に手厚い保護を与えているため、地主が土地を貸しにくい状況を出現させます。
そこで、一定の手続きによって、借地権者の権利を制限し、地主が土地を貸しやすくする制度が創設されました。
この制度を定期借地権といいますが、以下ではこれについて解説します。
借地借家法による借地権者の保護規定について
借地借家法では、建物所有目的の借地契約の契約期間の満了時点で、借地上に借地権者の建物があり、かつ、借地権者が契約の更新を請求した場合には、地主に異議がない限り、契約更新をしたものとみなす、と規定しています。(借地作家法第5条)
また、上記の借地上に建物を有する借地権者が契約の更新を請求した場合に、地主が契約の更新に異議を述べることができるのは、地主がその借地を自ら使用する等の正当な事由がある場合に限られます。(借地借家法第5条但書)
さらに、借地権者は、借地上に借地権者の建物がある場合において、借地契約が更新されないこととなった場合には、地主に対して借地上の建物を時価で買い取ることを請求できます。(借地借家法第13条)
これらの借地借家法の規定により借地権者が手厚く保護されているため、一度他人に土地を貸すと、その土地は地主に戻らないという状況が現出していたため、借地の供給が損なわれる事態となっていました。
そこで、一定の条件の下、借地権者の権利を制限して、地主が土地を貸しやすい状態を作り出し、借地の供給を増加させるために、定期借地権制度が創設されました。
定期借地権の種類とその内容について
定期借地権には、契約の存続期間や契約方法、利用目的等の際に応じて、以下の3種類が存在します。
@一般定期借地権
A事業用定期借地権
B建物譲渡特約付定期借地権
一般定期借地権について
一般定期借地権とは、存続期間を50年以上とし、契約の更新をしない、契約の終了時に借地権者が地主に対して建物買取請求権を行使しない、存続期間の延長をしない、という内容の土地賃貸借契約を締結することで発生する借地権のことを言います。
なお、この一般定期借地権には、利用目的の制限ありません。
一般定期借地権契約は、公正証書をもって行う必要があります。
口頭の契約や、公正証書以外の契約書で締結したものは、一般定期借地権契約とはなりませんから、注意が必要です。この契約で土地を借りると、借地権者は、契約終了時に、土地上の建物を取り壊して、土地を更地に戻して地主に返却することになります。
事業用定期借地権
事業用定期借地権とは、存続期間を10年以上50年未満とし、利用目的を事業用建物所有に限定して、契約する土地賃貸借契約によって発生する権利のことを言います。
この事業用定期借地権も、公正証書によって、契約を締結する必要があります。
そして、その公正証書による契約で、存続期間の更新をしない、存続期間の延長をしない、建物買取請求権を行使しない、旨を必ず定める必要があります。
この契約が締結された場合には、存続期間が満了すると、借地権者は、借地上の建物を取り壊したうえ、土地を更地に戻して地主に返却することになります。
建物譲渡特約付借地権について
建物譲渡特約付借地権とは、存続期間を30年以上とし、契約開始から30年が経過した時点で、地主が借地上の建物を相当の時価で買い取った時点で、契約が終了するという条件を付けて締結する賃貸借契約によって発生する権利のことを言います。
建物譲渡特約付借地権は、他の定期借地権とは異なり、公正証書で契約を締結する必要はありません。口頭でも契約は成立します。なお、建物譲渡特約付借地権の場合には、契約終了後も、地主が買い取った建物と土地をさらに賃貸に出せば、借地権者がそのままその土地に住み続けることができるという特色があります。
定期借地権と相続税対策
定期借地権が設定されている土地が相続財産となる場合には、その土地の相続税評価額は、更地としての相続税評価額から、定期借地権の相続税評価額を控除した金額となります。
よって、将来の相続財産となるべき土地について定期借地権を設定しておけば、その分、その土地の相続税評価を下げることができます。
ただし、定期借地権の相続税評価額は、普通借地権の相続税評価額よりも低くなる傾向があるので、定期借地権設定の場合には、普通借地権設定の場合と比較して、それが相続財産の評価額を引き下げる効果は、比較的小さいものとなります。