株券の相続について
被相続人が株券を有していた場合には、株券も相続財産となるので、株券の相続手続きが必要となります。
そこで、以下では、それについて解説します。
上場株式の相続手続きについて
株式には、上場株式と非上場株式があります。
そこで、まず最初に、上場株式の相続手続きについて解説します。
上場株式は現在ではすべて電子化されていますので、上場株式の相続手続きは、証券口座に開設している証券口座の名義変更手続きになります。
証券口座の名義を被相続人から相続人に変更する手続きは、銀行預金の口座名義の変更手続きとよく似ています。
その手続きは、以下の書面を揃えて、被相続人が証券口座を開設する証券会社に提出することで行います。
(1)相続による株券名義書き換え依頼書(証券会社窓口で入手)
(2)被相続人の出生から死亡までの身分関係を明らかにする戸籍謄本
(3)相続人全員の戸籍抄本
(4)相続人全員の印鑑証明書
(5)遺産分割協議書
なお、上記は、遺産分割協議で決まった株式の相続人に証券口座名義を変更する場合に必要となる書面です。
従って、遺言書によって口座名義を直す場合や、遺言執行者に名義を直す場合には、上記とは若干異なる書面が必要になります。
被相続人名義の上場株式が上場されていない場合の手続きについて
被相続人が保有していた上場株式が電子化されていなかった場合には、そのままでは相続手続きができません。
その場合には、株式失念救済請求書を提出して、一度被相続人名義の株式を電子化して、証券口座を開設します。
その後、上記の手続きに従って、証券口座の名義を被相続人から相続人へ変更します。
非上場株式の相続手続きについて
被相続人が有していた株式が非上場株式である場合は、証券会社は何の関係もありません。
非上場株式である場合には、会社に株主名簿があるはずですから、その株主名簿の記載を被相続人から相続人に変更すれば、相続手続きは完了です。
不動産登記や証券口座の変更とは異なり、名義変更について相続人全員が実印を押印した遺産分割協議書や、印鑑証明書、戸籍謄本等は必要ありません。
非上場株式の相続による株主名簿の書き換えは、相続人全員の合意があれば可能です。
ただし、後々のトラブルを防止するために、合意内容を遺産分割協議書に認めておくことが望ましいことはいうまでもありません。
また、被相続人の遺産総額が相続税の基礎控除額を超え、相続税の課税対象となる場合には、将来の税務調査に備える必要があります。
そのため、非上場株式をどの相続人がどれくらい相続したかを、第三者に対して明らかにできるように株主名簿を整備しておく必要があります。