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被相続人の意味について

相続では、被相続人や相続人という言葉が非常によく使われます。

では、このうちの被相続人とは、いったいどんな意味があるのでしょうか。

以下で解説します。

被相続人とは

被相続人とは、亡くなった方のことで、相続財産となる遺産の所有者であったものです。

そして、相続の基本的な考えは、被相続人が残した遺産を、相続人が受け継ぐということになります。

例えば、Aさんの残した財産を、Aさんの配偶者B、子C、Dが相続するといった場合、Aさんが被相続人となります。

被相続人の意思は尊重される

民法第176条は、物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる、と規定しています。

この規定は、財産は、登記や引き渡しではなく、当事者の「この財産を差し上げます」「この財産を受け取ります」という意思のみによって、その権利が移動することを意味します。

この考え方は、相続にも引き継がれています。

それは、被相続人が遺言書によって、相続財産の分け方を定めておけば、被相続人の死後、被相続人の遺産は、基本的にはその遺言書に従って分けられます。

通常は、当事者が契約書を取り交わすことによって、その所有権などの権利が移転します。

しかし、相続人の場合は、被相続人の残した遺言書によって、相続財産の所有権の帰属が決まります。

形式は異なりますが、どちらも当事者の意思によって物権変動が定まるという点では、同じです。

相続の開始について

民法第882条では、相続は死亡によって開始すると規定しています。

つまり、相続は、被相続人が亡くなった時から開始することになります。

なお、民法第896条は、相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する、と規定しています。

また、民法第898条では、相続人が数人あるときは、相続財産はその共有に属する、と規定しています。

これらの規定によって、相続財産は、被相続人の死亡した時点で、一度、相続人全員の共有財産となります。

その後、遺言書又は相続人間の遺産分割協議書に従って、遺産の配分が行われます。

ただし、遺言書の効力は、遺言書が被相続人の死後しばらくしてから発見された場合でも、被相続人の死亡時点まで遡ります。

相続が開始する場所について

また、民法第883条では、相続は被相続人の住所において開始すると規定しています。

ここで、被相続人の住所とは、被相続人の亡くなった時点での住所となります。

被相続人の死亡時点での住所がどこにあるかという問題は、相続税の申告書や相続放棄の申述書等の提出先となる行政機関を定める際に重要な意味を持ちます。