知ってて損はしない!?連帯保証人と相続放棄について
相続人が被相続人の連帯保証人となっていたり、被相続人が他人の連帯保証人となっている状態で相続が開始し、相続人が相続放棄を行った場合には、連帯保証人の地位はどうなるのでしょうか。
以下では、この問題について解説します。
連帯保証とは
保証とは、主たる債務者が債務の履行ができない場合に、主たる債務者に代わって保証人が債務の履行をするという契約のことをいいます。
そして、連帯保証とは、保証人の義務を通常の保証より荷重した契約による保証のことをいいます。
通常の保証の場合には、主たる債務者に債務の履行を請求しないで、いきなり保証人に債務の履行の請求が来た場合には、まず、主たる債務者に請求して下さいと主張できます。
また、主たる債務者が資力十分な場合、債務不履行による強制執行は、まず主たる債務者に対して行い、それが不完全な場合のみ、保証人の財産に対して行うべきと主張できます。
前者を催告の抗弁権、後者を検索の抗弁権といいますが、通常の保証の場合には、この双方の権利が保証人に認められています。
しかし、連帯保証の場合には、催告の抗弁権も検索の抗弁家も認められていないので、主たる債務者に債務不履行があると、直接連帯保証人に催告や強制執行が行われます。
相続人が被相続人の連帯保証人となっていた場合について
相続人が被相続人の連帯保証人となっていた場合には、相続人が被相続人の相続について相続放棄を行った場合でも、相続人は連帯債務者としての義務を負います。
例えば、Aが債権者Xから5,000万円の借金をしており、その借金についてAの子Bが連帯保証人となっていたとします。
この場合で、Aが亡くなりAについて相続が開始し、BがAの相続権を放棄したとします。
しかし、この相続放棄によって、AがBの連帯保証人でなくなることはありません。
したがって、債務履行期までにAの5,000万円の借金が返済できない場合には、BはAのB以外の相続人とともに、その借金の返済義務を負います。
ここで、相続放棄を行ったBが何故Aの連帯保証人の地位も放棄できないかというと、それは次の理由によります。
連帯保証人は連帯保証契約によって成立するので、基本的には相続とは無関係で、その結果、相続放棄を行っても、それが連帯保証人の地位には影響を及ぼさないからです。
被相続人が他人の連帯保証人となっていた場合について
さて、今度は、被相続人が他人の連帯保証人となっていた場合について考えます。
この場合には、相続人が相続放棄を行うと、被相続人の有していた連帯債務者としての義務を相続人は負うことはありません。
例えば、Aの友人XがY銀行5,000万円の借金をし、AがXの連帯保証人となっていたとします。
ここで、Aが亡くなり、相続が開始し、相続人をAの子B、また、Xが債務履行期に5,000万円の返済ができなかったとします。
すると、Aが有していた連帯保証人の地位も相続の対象となりますから、Aの子Bは、Y銀行から5,000万円の支払いを求められることになります。
しかし、Aが有していた連帯保証人の地位は相続の対象となるので、相続放棄を行えば、BはXの連帯保証人ではなくなるので、Y銀行の取り立てを断ることができます。
なお、相続放棄は事故に相続の開始があったことを知った時から3か月以内に行わなくてはならないので、気を付けなくてはなりません。