農地

相続した農地の評価方法をご存知ですか?

農地を売買などにより取得した場合には、一般的には農地法上の許可が必要になります。
では、農地を相続した場合には、農地法上の許可は必要になるのでしょうか?

以下では、農地法上の許可や、相続税計算の際の農地の取り扱われ方等、農地を相続する場合の問題点について解説していきます!

農地法の上の許可とは

売買等により農地の所有権を移転する場合には農地法の許可が必要です。
この許可は、対象となる農地の所在地を管轄する農業委員会又は都道府県知事が行います。

農地の権利移転により新たに農地を取得するものが、農業を継続していく意思及び能力を有していると認められる場合などには、許可がおります。

相続による農地の取得の場合、農地法の許可は不要

遺産分割に伴う相続や、包括遺贈による権利の移転の場合には、農地の所有権を移転する場合でも、農地法上の許可は不要となります。
よって、農地を相続によって取得した場合には、農地法上の許可はいらないことになります。

包括遺贈とは、特定の財産を指定しないで、全財産の1/3をAに、1/3をBに、1/3をCにというような遺言により、遺産を相続人等に分割することをいいます。
包括遺贈の場合には、相続人以外の者に農地を譲る場合でも、農地法上の許可は不要になります。

一方、特定遺贈とは、特定の財産を指定して遺言により相続財産を相続人等に譲ることを言います。
特定遺贈により農地を譲る場合には、相続人に対して譲る場合でも、農地法上の許可が必要になりますので、注意してください!

相続税計算上の農地の評価

相続により農地を取得した場合、その農地の相続税法上の評価額を相続税の課税対象となる財産の価額に加算しなくてはなりません。

相続税の計算においては、相続により取得した農地は以下の4種類に区分されます。

  • 純農地
  • 中間農地
  • 市街地周辺農地
  • 市街地農地

純農地と中間農地の相続税法上の評価について

純農地(農業政策上の規制が多く、売買の可能性が非常に低い)と中間農地(農業政策上の規制がやや多く、売買の可能性が低い)について、相続税法上の評価は倍率方式を採用しています。

倍率方式とは、この農地の固定資産税評価額に国税局長が定める一定の倍率を乗じた評価額を、相続税の課税財産総額に加算する相続により取得した農地の評価額とするものです。

市街地周辺農地の相続税法上の評価について

市街地周辺の農地を相続により取得した場合、その農地の相続税法上の評価額は、その農地が市街地農地であった場合の価額の80%の価額となります。

市街地農地よりも都市化されていない区域の農地であるため、20%を減じた評価額となります。

市街地農地の評価

住宅街や商店街の中にある市街化農地の相続税法上の評価は、原則として宅地比準方式により行われます。

宅地比準方式とは、その農地が宅地であるとした場合の評価額から、農地を宅地に造成した場合の費用額を控除した価額を、農地の相続税法上の評価額とするというものです。

農地の相続税の一部猶予制度と耕作放棄地

なお、農地を相続した者が、相続した農地を利用して農業を継続する場合には、当該の農地に係る相続税の一部の納付を猶予する制度を利用できます。

ただし、この制度を利用して相続税の一部の支払い猶予を受けている場合、途中で農業を辞めると、猶予されていた相続税の一部の支払わなくてはなりません。

猶予制度は、農業経営をできるだけ持続させて、耕作放棄地を減少させることが目的ですので、途中で農業を辞めて耕作放棄地を発生させた場合には、猶予が解かれてしまいます。

なお、相続開始後20年以上、相続した農地で農業を継続した場合には、猶予されていた一部の相続税の支払は免除されます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、農地を相続する場合の評価額などについて解説しました。
農地法の許可は、自分がどのような状況かを把握して、必要か不要かを判断してください!

最後まで読んで頂きありがとうございました。