自分でもできる!相続登記
多くの方は相続や税金の手続きが難しいと感じるため、専門家に依頼して手続きを済ませています。
相続登記の場合、本人の代理として手続きができるのは司法書士ですが、司法書士に支払う報酬は決して安いものではありません。
対象の不動産の価値によって報酬や相場は変動しますが、概ね5万円~10万円くらいの報酬を支払うことになり、登録免許税や戸籍の取得等の費用と合計すると、20万円近くの出費になることが多いようです。
実は、相続登記は専門家に任せなくても、ある程度の手間をかければ自分でもできます。
不動産の状態は千差万別なので「誰でもカンタンにできる!」と言い切ることはできませんが、多額の費用をかけることなく、手続きができます。
今回は「自分でもできる!相続登記」と題して、手続きの方法をご紹介します。
1 相続登記はいつまでにすればよい?
実は、相続登記には期限がありません。
だからといって、いつでもよいわけでもありません。
いざ不動産を売却しようとしても、相続登記ができていないばかりに機を逃してしまうということも有り得るので、相続登記は早めに完了させる必要があります。
2 相続登記に必要な書類は?
相続登記の必要書類は
相続登記申請書
登記原因証明情報
住所証明情報
固定資産税評価証明書
不動産の登記事項証明書
の5種類です。
【相続登記申請書】
所定の様式に従う必要はありませんが、法務局のホームページに『相続による所有権移転登記申請書』などのテンプレートが掲示されているので、参考にしながら作成しましょう。
【登記原因証明情報】
相続の事実や相続人を証明するための書類です。
具体的には
被相続人が死亡したことの証明(戸籍簿謄本)
相続人が、相続が発生した時点で存在していることの証明(戸籍簿謄本)
被相続人の戸籍上の住所と登記簿上の住所が異なる場合の住所変更証明(戸籍の付票や住民票)
遺産分割の証明(遺産分割協議書や遺言書)
が必要です。
【住所証明情報】
相続人の住所を証明する書類として住民票が必要です。
【固定資産税評価証明書】
登録免許税の金額を算出するための資料として、固定資産税評価証明書を提出します。
市町村役場や都道府県税事務所で取得できますが、毎年送付される納税通知書の明細書でも可能としている法務局もあります。
【不動産の登記事項証明書】
対象となる不動産を証明するための登記簿です。
3 どうやって手続きするのか?
まずは対象となる不動産の所在地を管轄する法務局を訪ねましょう。
各地の法務局によって多少の運用の差があるので、無駄な作業や出費を減らすために必要書類などの案内を受けることから始めてください。
必要書類の項目を確認したら、実際に戸籍簿謄本や登記簿などを取得していきましょう。
遺産分割協議書や遺言状は原本を提出する必要があるので、返却が不要の場合はコピーを取っておく、原本の返還を求める場合は原本とともにコピーを1部用意しておきましょう。
全ての証明書類が揃ったら、相続登記申請書に資料を添えて法務局へ行きます。
申請書を提出する際に『登録免許税』の納付として、収入印紙を購入しましょう。
登録免許税の金額は「固定資産税評価額の0.4%」なので自分でも計算はできます。
法務局には収入印紙を販売する窓口が設置されているので、金額に自信がない場合は窓口で必要額を尋ねてかた購入するほうが安全でしょう。
申請書等に不備がなければ手続きは完了です。
もし提出書類の記載に誤りがあればその場で訂正を求められる場合があるので、書類に押したものと同じ印鑑を用意しておくとよいでしょう。
訂正の可能性を考えて、作成書類は全て同じ印鑑を使用することを心がけることも必要です。
4 まとめ
自分でできる相続登記の方法を紹介しましたが、最初に「誰にでもカンタンにできる」と言い切らなかったのは、被相続人の戸籍上の住所と登記簿上の住所が異なっていたり、遺産分割協議書の存否であったりで必要書類が異なるからです。
法務局で案内を受けたり、一旦は書類を提出しても不備を指摘されて修正していけば、必ずゴールにたどり着きます。
「不明なことがあれば法務局に尋ねる」という姿勢さえあれば、難しいことは何もありません。
費用は戸籍簿謄本などの実費と登録免許税だけで、あとは自らの手間だけ。
司法書士に依頼することと比べれば、出費の差は歴然ですね。
せっかくの相続財産です。
人生のうちに何度もあることではないので、自分でできる手続きがあれば積極的にやっていきたいですね。