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共同相続登記について知りたい!

不動産を相続する時に始めて耳にする言葉が『相続登記』ですが、法定相続人が複数人いる場合は遺産分割協議が成立していなくても相続登記をすることができます。

この状態のことを『共同相続登記』といいます。
相続は人生に何度も発生することではないので、ほとんどの人が手探り状態、初めて聞く用語に初めての手続きだらけですから、用語を知らなくても当然です。

今回は、共同相続登記について学んでおきましょう。

1 共同相続登記とは?

不動産の名義人が亡くなり、名義人が不在状態になってしまうと、悪意のある第三者が売却を目的に勝手に名義を変更してしまうことがあります。
悪意のある名義変更を防ぐため、遺産分割協議が成立していない状態でも「一時的な」相続登記をおこなうことができます。
この「一時的な相続登記」の状態を『共同相続登記』と呼ぶのです。
共同相続登記の状態では、文字通り、複数の相続人による共同所有の不動産になっています。

共同相続登記は、
 法定相続人分の名前で
 法定相続分どおりに
という一時的な登記だと覚えておけばよいでしょう。

そもそもの目的が悪意のある第三者による無断登記を防ぐものですから、法定相続人のうちのたった一人でも申請することが可能です。
他の法定相続人の了承がなくても手続きができます。
話が行き渡っていないと「弟が無断で共同名義の相続登記をしている」などと憤ってしまうことがありますが、大切な相続財産を守るために法定相続人の一人がしてくれていることなので誤解のないようにしておきましょう。
もちろん、法定相続人のうちの誰かに悪意があり自分に有利な取り分で法務局に申請しても、法定相続分を越える取り分で申請していれば却下されるので心配は無用です。

遺産分割協議が成立すれば、その内容に従って相続登記すればよいだけです。

2 こんなケースもある?!共同相続登記をする理由

共同相続登記が申請される理由の中には、本来の「悪意のある第三者による無断の名義変更防止」という目的のほかにも手続きが利用されることがあります。

最も有効な活用方法は「遺産分割協議がまとまっていないケース」です。
法定相続人の間でそれぞれの取り分がまとまらず遺産分割協議が成立していないが「売却する」という方針は全員が合意しているという場合もあるでしょう。
このような場合、亡くなった名義人から直接の相続登記ができていない状態が長く続いてしまうので、一旦は共同相続登記をしてしまい、共同財産のままで売却することができます。
遺産分割協議がまとまらないがために売却の好機を逃してしまうことは得策ではありません。
このようなケースでは、共同相続登記が非常に有効でしょう。

少し悪意のあるケースも存在します。
それは「遺言執行に対抗するケース」です。
相続人の中には、被相続人が残した遺言の内容を不満に感じていることもあります。
遺言を執行して相続人の名義に変更する場合、元の名義人から直接相続人の名義に登記されることになりますが、共同相続登記をすることで、直接の相続を妨害しようと画策するわけです。
もちろん、遺言状が存在する場合は遺言の内容のほうが優先されるので共同相続登記が無効になり、遺言執行自体を無効にさせることはできません。

3 まとめ

共同相続登記についておさらいしましょう。

 共同相続登記は、法定相続人が法定相続分どおりで共同名義とすること
 共同相続登記の目的は、悪意のある第三者が売却などを目的として無断で登記変更することを防ぐため
 共同相続登記は、他の法定相続人の合意がなくても法定相続人のうち一人が手続きすることで可能
 共同相続登記をすることで、遺産分割協議が成立していない不動産でも共同名義のまま売却が可能

相続登記自体が義務ではないため、共同相続登記も絶対に必要な手続きというわけではありません。
ただ、大切な相続財産を守りながら有効に活用するためには、共同相続登記という方法も頭に入れておくとよいでしょう。