親の持ち家を相続することになった時に知っておくこと
親の財産を相続する時に一番頭を悩ませるのが『親の持ち家』です。
不動産の相続には、その後の資産運用なども考えれば必要な手続きや注意点がいくつかあります。
知らないと思わぬ出費を招いたり、その後の手続きが進まなくなる事態にもなりかねないので、親の持ち家を相続することになった人はもちろんですが、これから近い将来に親の持ち家を相続する可能性がある人もしっかり勉強しておきましょう。
不動産を相続する時に必要な手続きは?
家、土地に関係なく、不動産を相続する場合には登記の名義変更をする必要があります。
相続によって登記の名義を変更することを『相続登記』と呼びます。
相続登記をしておかないと、相続人の権限で不動産を譲渡・売買することができません。
譲渡・売買だけでなく、金融機関などから融資を受ける際に担保として差し出すこともできなくなってしまいます。
相続登記を済ませないと、法的に「財産を相続した」と主張できないと言えるでしょう。
実家の相続はモメる?
「大した財産を持っている両親でもないし、あるのは実家だけだからウチは遺産相続で争うことなんてない」と思っていたら大きな間違いです。
例えば、親の持ち家に長男夫婦が同居していたとしましょう。
親の持ち家は、両親の住みかであり、長男夫婦にとっても住みかであり、兄弟姉妹にとっては『実家』です。
両親がなくなってしまうと、親の持ち家は相続財産の対象となりますが、同居を続けていた長男にしてみれば「自分にとっても住みかなんだから、このまま自分が相続して住み続けても当然だろう?」と思うでしょう。
ところが、兄弟姉妹やその配偶者にしてみれば「お兄さんだけが財産を独り占めするなんてズルい!」と思うかも知れません。
実家の相続は、意外にもモメるのです。
絶対にやめたほうがいい『共有名義』
意外にもモメてしまう実家の相続ですが、兄弟姉妹、その配偶者に至るまで全員が不平不満を感じずにいられるのであれば、同居していた人が相続するのもよいでしょう。
そんな中、1人でも「で、私の取り分は?」などと言い始めたためによく取られる考え方が「では兄弟姉妹の共有名義にしよう」というもの。
これだけは絶対にやめておきましょう。
一見、不公平感もなく兄弟姉妹が仲良くできる手続きのようですが、それは相続の手続きなどを考えている時だけのお話。
後々になって持ち分を売却したい人が現れると大変です。
不動産を部分的に売却するのは困難なので、結果、住み続けていない限り、誰にも何の利益もないような状態になってしまいます。
直接相続した代ではなく、さらにその子どもや子孫の代になると、売却などで了承を得るにも会ったこともない親族が相続していることも多いので大変です。
子孫にとっては迷惑以外のなにものでもないので、共有名義はやめておきましょう。
まとめ
親の持ち家の相続に関して紹介しましたが、今回の内容をおさらいしてみましょう。
- 不動産を相続した場合は相続登記によって名義を変更する必要がある
- 親と同居している兄弟姉妹がいる場合、実家の相続でモメることが多い
- 相続時のもめ事を避けるために共有名義にすることは、子孫に迷惑をかけるのでやめるべきである
親の持ち家の相続が発生した場合、そのまま住み続ける選択肢がなければ早めに売却を考えたほうがよいでしょう。
相続財産が不動産だけの場合は、遺産分割で不公平を生じさせないために、相続が発生する前に売却を考えることも必要でしょう。