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土地を贈与した場合に発生する税に関して:土地の贈与税や相続税

平成27年の相続税の改正により、相続税が課税される可能性が大幅に上がったと言われています。

これに伴い、生前贈与その他の手段を利用した親族間での資産の移動が注目されています。

今回は、「土地の贈与」を1つの切り口として、贈与税及び相続税に関するいくつかのトピックについて解説してみます。

土地の贈与と現金の贈与

贈与税というのは1人の人が1年間にもらった財産の額に応じて課税されます。

現金の贈与であれば、財産の額は明らかです。

一方、土地を贈与した場合の財産の額はどのように考えれば良いのでしょう。

例えば、3000万円で購入した土地を贈与した場合、3000万円を基準に贈与税の計算をするのでしょうか?

土地の贈与について

土地を贈与した場合の贈与財産の額は、路線価によって決まります。

路線化が定められていない地域は固定資産評価額に一定の倍率をかけた倍率方式により求めます。

この路線価は、実際に市場で売買される際の価額の7~8割が目安と言われています。

従って、5000万円の現金と5000万円で売れる土地を持っていた場合、
現金を贈与するよりも土地を贈与した方が、低い贈与税額で同じ資産価値の財産を移転することが可能になります。

土地の無償使用

例えば、親から高額な金銭を無利息で借りると、利息相当額の贈与があったものと認定されると言われることがあります(とはいっても、相当高額でないと贈与税はかかりませんが)。

では、同様に親が持っている資産価値の高い土地を無償で子供が借りて、子供名義の建物を建てて居住しているような場合はどうでしょう。

親子間での権利金や地代を支払わない土地の無償使用は贈与税を考慮する必要があるのでしょうか?

これについては、国税庁の判断が示されています。

結論としては、贈与税が課税されることはありません

ただし、親が死亡した際の相続税の計算では、子供に「貸して」いる土地であっても貸宅地ではなく自用地として評価されます。

相続時精算課税制度の利用について

土地その他の財産を親から子へ贈与することを検討していると、相続時精算課税というキーワードに接することが多いと思います。

さて、この制度は税金の損得で考えたときに得なのでしょうか?

その答えは、親が持っている資産規模によって違います

親に資産が将来において相続税が課税されるほど無いのであれば、相続時精算課税制度を使うことで贈与時には非課税(または少額の課税)で贈与でき、相続発生時には相続税は課税されません(納付済み贈与税は還付されます)。

つまり、トータルで見て贈与税・相続税ともに課税がなかったことになります。

従って、相続時精算課税制度の利用を積極的に検討すべきでしょう。

一方、ある程度の資産を親が持っている場合は、相続時精算課税制度の利用に慎重になるべきです。

そもそもこの制度は、相続時に贈与税と相続税を一括して精算する制度なので、トータルで納めるべき税額はほぼ同じで節税を期待できるものではありません。

また、相続税額の計算の際の贈与財産の価額の評価は贈与時を基準とするので、建物のように期間の経過により評価が下がる財産では、かえって高い相続税額になる可能性すらあります。

そして、なにより暦年贈与における年間110万円の控除が使えなくなるという影響は大きいです。

まとめ

以上概観したように、土地の贈与というテーマだけで考えても様々な考慮要素があります。

どうすれば、自分にとって・自分の家族にとって得なのかというのは、それぞれの資産内容等によっても変わります。

もし気になる点があれば、早めに税理士等の専門家に相談をして長期的・計画的な対応を検討するのが良いでしょう。