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賃貸マンションを利用した相続税対策

平成27年1月から基礎控除額引き下げによる相続税の増税が始まりました。その結果、相続税対策が今後非常に重要になります。そこで、その方法の1つとして、賃貸マンションを利用した相続税対策について以下で解説します。

賃貸マンションを利用した相続税対策の方法について

賃貸マンションを相続税対策として利用する場合には、現金で購入した土地上又は既に保有している土地上に建物を建設し、その建物を第三者に賃貸することで行います。

この方法がなぜ相続税対策となるかというと、それは、賃貸に出している土地や建物の相続税評価額が、現金や更地の土地と比較して割安となるためです。

貸家建付地と貸家の相続税評価について

例えば、評価対象の土地が所在する地域の借地権割合が70%、借家権割合が30%としますと、更地に建物を建てた上、それを第三者に賃貸した場合のその敷地(貸家建付地といいます)の相続税評価額は更地評価を1とすると、1−借地権割合×借家権割合=1−0.7×0.3=0.79となります。

また、借家の相続税評価は、建物を賃貸に出していないとした場合の建物の相続税評価を1とすると、1−借家権割合=1−0.3=0.7となります。なお、借地権割合は全国各地で30%から90%の範囲でそれぞれ異なりますが、借家権割合は全国ほぼ一律で30%となっています。

つまり、このケースでは、相続財産である土地を更地から貸家建付地に変えておけばその評価額は21%減少します。同じく、相続財産を賃貸していない建物から賃貸している建物に変えておけばその評価額は30%減少します。

現金で土地を購入すれば効果はより高まる

現金で土地を購入し、その土地の上に建物を建て、その建物を賃貸に出した場合には、相続税の節税効果はさらに高まります。その理由は、土地の相続税評価額は時価の80%程度に設定されているので、現金から土地に相続財産を変えておけば、相続財産評価額を20%程度減らすことができるからです。

なお、建物についても、建物の評価額は、時価の60%〜70%程度とされており、現金で建物を購入することにより、相続財産を現金から建物に変えておけば、相続財産評価額を30%から40%程度減少させることができます。

相続税対策として賃貸マンション等を利用する場合の注意点について

相続税対策としては、賃貸マンションやアパート経営を利用する方法は、非常に有効なものとして、古くから活用されておりました。これは、相続税対策として有効であるばかりではなく、賃貸収入を上げることもでき、1石2鳥の効果を生じます。

しかし、相続税対策としてアパート経営等を利用する場合には、銀行から多額の借入金を受け、大規模な投資を行うことは控えたほうが賢明です。銀行からの多額の融資を受け大規模な不動産投資を行うと、賃貸収入は増えますが、所得税が高額になり、また、毎月の利子の負担も重くなります。

そうすると、賃貸収入が少しでも下がると、借金の返済が滞り、倒産のリスクが発生します。相続税対策としてアパート経営等を行ったのはよいが、事業が倒産して多額の損失を被るというのでは本末転倒です。よって、相続税対策としてアパート経営を行う場合には、無理のない適正な事業規模にすべきです。