贈与税の確定申告について知りたい!
財産を贈与した場合は贈与税が課税される。
これは常識でしょう。
ところが、国税庁の調査によると贈与税の申告漏れは実に80%を超えているそうです。
そしてその多くは「贈与にあたると思わなかった」「贈与を受けた場合に確定申告をする必要があることを知らなかった」というケースだといいます。
贈与を受けた場合は、金額などの条件に応じて確定申告をする必要があります。
期限内に確定申告をしない場合は追加で課税されることもありますから、しっかりと期限を確認しておく必要があるでしょう。
今回は、知らないと大変な贈与税の確定申告についてお話しします。
1 暦年贈与の場合は?
『暦年贈与』とは、カンタンに言えば普通の贈与のことです。
誰が誰に財産を贈っても構いません。
その年の1月1日から12月31日までの間に1人が受ける贈与が110万円までは控除を受けて非課税になります。
注意が必要なのは、1人が受けられる控除額が110万円までであり、例えば2人から110万円ずつの合計220万円の贈与を受けたとしても控除額は110万円までという点です。
暦年贈与の場合、基礎控除額の110万円を超える贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に確定申告をする必要があります。
基本的に基礎控除額以内に収まる贈与を受けた場合は申告の義務はありませんが『贈与税の配偶者控除』や『住宅取得等資金の非課税』の適用を受ける場合は申告額が0でも確定申告をしなければいけないので注意しましょう。
2 相続時精算課税の場合は?
『相続時精算課税』とは、親子間や孫などの間柄においてのみ、2,500万円までの贈与を非課税とする代わりに、相続時に相続財産と併せて贈与分にも相続税を課税する制度です。
単に制度の説明だけ聞くと頭に「?」が浮かびそうですが、相続時精算課税を利用することで、早い時期に子や孫にまとまった財産の贈与が可能になるので「自分が元気なうちに財産をまとめて贈与したい」と考える方にはオススメの制度ですね。
相続時精算課税を利用した場合も、確定申告の期限は暦年贈与と同じです。
1月1日から12月31日までを1年として、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに確定申告をする必要があります。
暦年贈与と異なるところは、たとえ申告額が0であっても必ず申告の義務が発生することです。
この点には特に注意が必要でしょう。
3 「確定申告が必要なことを知らなかった!」さて、どうなる?
冒頭でも触れましたが、贈与税の確定申告を怠った場合は追加で課税を受けることになります。
具体的には『無申告加算税』として納めるべき税金の15%が追加で課税され、納めるべき税金が50万円を超えている場合は、超えた部分の20%が加算されます。
課税額が大きくなれば加算額も増えることになるので、申告が必要かどうかはきちんと確認しておきましょう。
特に配偶者控除や住宅取得等資金の非課税などの制度や、相続時精算課税を利用する際は注意が必要です。
また、海外に出国する場合は、贈与を受けた年の翌年の1月1日から3月15日までの間の出国日までが期限となるので、渡航予定がある方はチェックが必要ですね。
4 まとめ
贈与税の確定申告についてお話ししましたが、ここでおさらいです。
・贈与には『暦年贈与』と『相続時精算課税』がある
・暦年贈与の場合は1人につき年間110万円まで贈与された財産が非課税となる
・相続時精算課税の場合、2,500万円までが控除され相続時に相続税と併せて納税する
・いずれの場合も贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに確定申告をする必要がある
・確定申告を怠った場合は納税すべき額の15%、納税すべき額が50万円を超える場合は超過部分の20%が追加で課税される
贈与は「どこからが贈与なのかはっきりしない」という難しさがありますが、国税庁は贈与にあたる財産を発見することにも力を注いでいます。
課税対象にあたるのか、課税対象にあたるのであれば確定申告が必要かどうかをきちんとチェックし、自分では判断できない場合は税理士などの専門家に相談することが重要でしょう。